この記事は、小学生~高校生くらいのお子さんがいる保護者の方を主な対象としています。
睡眠時間をきちんととることは大事だという話を、昔よりもよく見かけるようになりました。(良いことです!)
ただ現実に、長い睡眠時間を子どもにとらせるのはなかなか難しいもの。
「今の睡眠時間で大丈夫かな…」となんとなく不安に感じている人はきっといることでしょう。それとも「十分に眠らせているはずなのにうちの子はよく眠たそうにしている」という別の方面で不安になる人もいるかも。
この記事では、そんな風に悩める保護者の役に立つかもしれない情報を示していきます。
木花(もっか)
- 日本睡眠学会総合専門医
- 実は睡眠不足だと気づかずいつも居眠りする10代後半を過ごしました
- この記事を書いた時点で小学生と中学生である2人の男の子の母親です
この記事は、子どもの睡眠不足について考えるための一般的な目安をまとめたものです。診察や診断の代わりになるものではありません。推奨される睡眠時間を確保していても日中の強い眠気や生活への影響がみられる場合は、医療機関での相談をご検討ください。また、内容の利用はご自身の判断でお願いします。
推奨される睡眠時間より短くはない?
2023年に厚生労働省より発表された「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、子どもの睡眠時間についてこんなおすすめを出しています:
- 3~5歳児:10~13時間 (昼寝を含んでもよい)
- 小学生:9~12時間(昼寝は含まない)
- 中学・高校生:8~10時間(昼寝は含まない)

でも、これより短い睡眠時間で元気な子もいるじゃない?

確かに100%大丈夫な子もいるだろうけど、それは少数。ほとんどの場合は、ぱっと見には元気であっても、イライラしやすいとか疲れやすいとか、何かしらの形で負担がかかっていると思うよー。
「推奨される」睡眠時間を下回っている人が眠気で困っている場合には、何はともあれ睡眠不足を疑います。
実は他の原因もあって眠い場合でも、まずは睡眠不足を取り除かないと原因究明がかなり難しいです。
小学生なら9時間~12時間、中高生なら8時間~10時間の睡眠を毎日とるように心がけましょう!
長く寝ようと布団に入っていても眠れない…という場合は睡眠の専門家に相談しましょう。
なお、推奨される睡眠時間の下限(小学生なら9時間、中学生なら8時間)は、「これくらい眠れば大丈夫な人が多い」という程度の目安です。上限(小学生で12時間、中学生で10時間)くらい眠らないと足りない子ももちろんいます。
学校で居眠りしていない?
睡眠不足だと、いろいろな症状が出ます。
- 怒りっぽい
- よくイライラしている
- 集中できない
- 肩こりがひどい
- 疲れている
- 風邪をひきやすくなる

ていうか、要は睡眠がとれてる方が情緒が安定するし、勉強やスポーツでも結果を出しやすくなるし

そうそう、睡眠をちゃんととれてる方がハッピーになるってことなの
このような睡眠不足の症状の中でも特徴的でわかりやすい症状が、「眠気が出る」ことです。
車やバスなど乗り物でウトウトしやすい、休みの日に昼寝をしている…この時点ですでにこちらの視点では「眠そうだな。睡眠不足では?」となってきます。
さらに進むと「授業中などの起きていなければならない時に居眠りが我慢できない」という、誰から見てもまずいことが起きます。

ただし、居眠りしない子でも睡眠不足の可能性はありますからねー
朝に起こすとグズグズしていない?
睡眠不足がある子は、朝に起きることがつらくなる場合が多いです。体はもっと寝ていたいわけですからね。
親が起こしてもなかなか起きない、時には遅刻ギリギリとなる、その原因のひとつとして睡眠不足が絡んでいる可能性は十分にあります。
ただし、朝に必ず自力で時間通り起きてくる子でも慢性的な睡眠不足という場合もありますので(中高生の頃の私です)、すんなりと起床できるなら安心というわけでもありません。
休みの日、9時以降に起きていない?
学校が休みの日に遅くまで寝ている子どもたち…よくある光景だと思いますが、実はこれ、睡眠不足のサインです。
平日に睡眠が足りない分を、休みの日に長く眠ることで取り返そうとしているわけです。
一つの目安として、休日の睡眠時間が平日より2時間以上長い場合に平日の睡眠不足がある可能性が高いな…と睡眠医学の専門家は認識することが多いです。

休日に長く寝ることで睡眠不足を補えるなら、それでいいんじゃないんですか?

ところが休日の遅起きは、社会的ジェットラグというこれはこれで厄介な問題を引き起こすんですね! 話が長くなるのでまた別の機会に解説します。
長い休みの時期、毎日長時間寝ていたりしない?
ふだんは学校のために起きるから睡眠時間になっているのだとしたら、そうした縛りがない夏休みや春休みなどに長く眠るのは自然なことです。別に悪いことではありません。むしろ良いことです。
ただしそれは、学校のある時期には睡眠不足なのに頑張って起きている可能性が高いという意味でもあります。
もっとも、部活や補習で忙しい場合は、長期休みであっても基本早起きになってしまう人もいます。そうすると判定が難しくなります。
睡眠時間は短いけれど元気そうな場合は?
今の時代、小学生に9時間以上、中高生に8時間以上の睡眠を毎日平日にしっかりとらせるのはなかなか難しいものです。
本当は十分な睡眠時間を子どもにとらせたいと思いつつ、親自身が忙しかったり子どもからの抵抗にあったりして推奨睡眠時間をクリアできていない場合もきっと多いことでしょう。
そんな場合にどう考えるか。
睡眠時間についての考え方は、食生活をどうするかというのと似ていると私は思っています。
つまり、「理想はこうです」というものと「現実はこうです」に誰しも多少はズレが出てくるものだと。そして、あまりにひどいズレでなければ大目に見ていいものなんじゃないかと。
そして睡眠時間についてどこまでのズレを許すかは、「睡眠不足による症状で困っているかどうか」が重要だと考えます。
よくありそうなものだとこんな感じ:
- 授業中によく居眠りしてしまい授業についていけていない
- かんしゃくがひどく、本人も家族も困っている
- 朝なかなか起きられず、保護者が怒って空気が悪くなる
このあたりの問題があれば、睡眠時間を増やす優先度が高まってきます。
もちろん、「特に悪いところは思い当たらないけれど、何かが変わるかもしれないから睡眠時間を延ばしてみたい!」という動機で延ばすのも、全然ありです。
睡眠不足かもしれないと思ったら?
とにかく睡眠時間を延ばすしかありません。ちなみに睡眠時間を延ばした効果が実感できるまでは、毎日長く眠るようにしても2週間ほどかかることが多いです。
とはいえ、そう簡単に睡眠時間を延ばせたら苦労しませんよね。
まずは、夏休みや春休みといった長い休みを使うことから取り組むことがおすすめです。学校のある時期よりは遅起きできる人が多いと思います。時間の余裕を利用して、ふだんより30分でも1時間でも長く眠ってみましょう(もちろん、もっと長く眠れるならば、体が欲する通りに!)。
それで何かが変わるのか、見てみましょう。
こちらとしては、まずは睡眠時間を延ばして調子が良くなるかどうかを知ってもらいたいので、期間限定の実験ということでもやってみてもらえればうれしいです。
まとめ
- 小学生なら9時間~12時間、中高生なら8時間~10時間の睡眠時間をとるように心がけましょう。
- 昼間の眠気などの症状、休日に遅くまで寝るか、長期休暇に長く寝るかどうか、といったところから睡眠不足の有無を総合的に判断します。
- 睡眠不足の有無を確認するためにも、まずは期間限定で良いので毎日長く眠ってみましょう。
